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〔韓日パートナーシップ共同宣言〕はまだ生きている・・



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21世紀が始まった頃、日本と韓国は急速にその距離を縮めていた。
韓国の人気歌手のCDが発売され漫画雑誌にも韓国のアイドルが続々と登場していた。映画シュリは120万人を動員し、Kカルチャーブー ムが到来していたのである。韓国でも「クレヨンしんちゃん」「課長島耕作」が人気となり、コンビニでは三角おにぎりが若い女性達に人気だったと言う。

こう言う友好交流ブームに水をさしたのは、「歴史観における対立」であった。
いわいる 歴史教科書論争 である。
日本の歴史教科書の記述を巡って、韓国政府からクレームがつき、溝が生まれたのである。

日本ではサンケイ新聞を中心に、「韓国がクレームをつけるのは、内政干渉である」と言う論調が生まれたが、必ずしもそうとは言えない。19 98年、金大中大韓民国大統領は訪日し小渕総理大臣との間に「21世紀新たな韓日パートナーシップ共同宣言」(98.10)をした直後だったからである。

小渕総理大臣は、「今世紀の日韓両国関係を回顧し、我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実 を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫び」を述べた。 (*注 お詫びは韓国語で「謝罪」として合意、記載された )
そして、以下の内容を強調したのである

◆主要内容
a.過去の歴史の整理
不幸な過去の歴史を克服するための両国政府の確固たる意志を明らかにする。日本が文書で韓国を指して明確な謝罪、反省を明記した (文書で謝罪、反省を明記したのは初めて)。若い世代の歴史認識の深化に対する共同の努力を強調する。

b.韓日間の全国威的協力体制の構築
「共同宣言」の付属書である「行動計画」で、5分野43項目の協力事業を提示し、政治、安保、経済、文化等各分野にわたる均衡の取れた協力関係を強化する。両 国間の協力関係を戦略的、計画的に推進する土台を構築する。
両国外務長官が責任者となり、毎年推進状況を点検及び内容を補完する。両国のみの次元にとどまらず、地域問題及び汎世界的問題にまで協力範囲を拡大する。

ところが、こうした宣言の直後であるにも関わらず、相変わらずの 「日本は、植民地からの解放を目指して大東亜戦争を闘ったのだ」「韓国の併合は合法的であっ た」「まれに見る善政であった」「慰安婦には、強制性はなく、単なる商行為であった」・・・などと言う自己正当化の理屈を振り回す 『新しい歴史教科書を作る 会』 の歴史教科書が登場したのである。 そして文部省検定は、これを通過させた。
これでは、韓国からクレームがついたとしても当然ではないだろうか?
もし、この教科書問題が無ければ、金大中大統領が方針演説したように、韓国では日本文化を開放していったであろうし、日韓両国の真の 相互理解は今日さらに進んでいたはずである。

外交努力と文部省検定の間にある重大な分裂は、お得意の「二枚舌外交」と評価されてもしょうがないだろう。

「朱子学」(性理学)に元づいた国を造ろうとした事からも分かるように、もともと 「理を重んじ、トコトン相互の意志を確認しようとする指向を 持つ韓国人」 としては、またもや、 ”口先と腹の中が違う日本人” に文句を言ったとしても当然である。

かつての椎名悦三郎外相のように、外交の場では「遺憾な過去」と述べながら、日本に帰れば邪悪な本音をもらすような事が、<韓日外交>にお いては、繰り返されて来たのである。 
サンケイ新聞をはじめとする保守論壇は、これを「内政干渉」と呼んだが、「内政干渉」などと言う前に、小渕首相の謝罪や、パートナーシップ宣言 を無視したやり方を省みるべきではなかったのか?!
そして、この論調に乗ったのが、今日ネットの「ネット右翼・嫌韓流・反韓論」である。
彼らは、その暴力的論調によって韓国を攻撃しはじまた。2CHを中心に多数の「ネット右翼・嫌韓流・反韓論」サイトが乱立し、「韓国人 は病的なウソつきである」「姦国」「捏造大国」などと述べて、その民族性さえ攻撃したのである。

2011年現在、日本の中学歴史教科書から「軍慰安婦」の記述が消えつつあり、2014年には全ての中学歴史教科書から慰安婦記述 が消えるのである。その原因はこのネットの中の言論暴力団「ネット右翼・嫌韓流・反韓論」にあると言う。

彼らによる世論操作が為されて来たのである。

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◆「21世紀新たな韓日パートナーシップ共同宣言」(98.10)
98年10月、金大中大統領の国賓訪日時、両国首脳は「21世紀新たな韓日パートナーシップ共同宣言」と、これに伴う付属書である「行動計画」を共同発表しました。
現在該当部署別に後続措置を推進中で、両国外交部で推進状況を定期的に点検しています。

<「21世紀新たな韓日パートナーシップ共同宣言」の概要>
(1) 意義
20世紀の韓日関係を整理し、21世紀に向けた協力原則を明らかにした歴史的文書である。韓国外交史上初の外国と結んだ包括的協力文書である(その相 手国が日本という点が韓日関係の重要性を象徴している)。1965年国交正常化時の韓日基本条約を修正、補完する性格の文書と評価される。

(2) 構成
「21世紀の新たな韓日パートナーシップ共同宣言」とこれに伴う付属書である「行動計画(Action Plan)」から構成される。「共同宣言」には、両国 関係に対する基本認識及び各分野別協力の基本原則を叙述している。「行動計画」には「共同宣言」の協力原則を実践するための43項目の具体的な 協力計画を提示している。
○両国関係の基本認識(過去の歴史を含む)
○5つの協力分野
 両国間対話チャンネルの拡充
 国際社会の平和と安全のための協力
 経済分野における協力関係の強化
 汎世界的問題に関する協力の強化
 国民交流及び文化交流の増進

(3) 主要内容
a.過去の歴史の整理
不幸な過去の歴史を克服するための両国政府の確固たる意志を明らかにする。日本が文書で韓国を指して明確な謝罪、反省を明 記した(文書で謝罪、反省を明記したのは初めて)。若い世代の歴史認識の深化に対する共同の努力を強調する。
b.韓日間の全国威的協力体制の構築
「共同宣言」の付属書である「行動計画」で、5分野43項目の協力事業を提示し、政治、安保、経済、文化等各分野にわたる均衡の取れた協力関係を強化する。 両国間の協力関係を戦略的、計画的に推進する土台を構築する。
両国外務長官が責任者となり、毎年推進状況を点検及び内容を補完する。両国のみの次元にとどまらず、地域問題及び汎世界的問題にまで協力範囲を拡大する。

日韓共同宣言1998.10
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日韓共同宣言
-21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ-

1.金大中大韓民国大統領夫妻は、日本国国賓として1998年10月7日から10日まで日本を公式訪問した。金大中大統領は、滞在中、小渕恵三日本国内閣総理大臣との間で会談を行った。両首脳は、過去の両国の関係を総括し、現在の友好協力関係を再確認するとともに、未来のあるべき両国関係について意見を交換した。  この会談の結果、両首脳は、1965年の国交正常化以来築かれてきた両国間の緊密な友好協力関係をより高い次元に発展させ、21世紀に向けた新たな日韓パ ートナーシップを構築するとの共通の決意を宣言した。

2.両首脳は、日韓両国が21世紀の確固たる善隣友好協力関係を構築していくためには、両国が過去を直視し相互理解と信頼に基づいた関係を発展させていくことが重要であることにつき意見の一致をみた。  小渕総理大臣は、今世紀の日韓両国関係を回顧し、我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べた。 *注 お詫びは韓国語で「謝罪」として合意、記載された  金大中大統領は、かかる小渕総理大臣の歴史認識の表明を真摯に受けとめ、これを評価すると同時に、両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させるためにお互いに努力することが時代の要請である旨表明した。  また、両首脳は、両国国民、特に若い世代が歴史への認識を深めることが重要であることについて見解を共有し、そのために多 くの関心と努力が払われる必要がある旨強調した。

3.両首脳は、過去の長い歴史を通じて交流と協力を維持してきた日韓両国が、1965年の国交正常化以来、各分野で緊密な友好協力関係 を発展させてきており、このような協力関係が相互の発展に寄与したことにつき認識を共にした。小渕総理大臣は、韓国がその国民のたゆまざ る努力により、飛躍的な発展と民主化を達成し、繁栄し成熟した民主主義国家に成長したことに敬意を表した。金大中大統領は、戦後の日本の平 和憲法の下での専守防衛及び非核三原則を始めとする安全保障政策並びに世界経済及び開発途上国に対する経済支援等、国際社会の平和と繁栄に対し日 本が果たしてきた役割を高く評価した。両首脳は、日韓両国が、自由・民主主義、市場経済という普遍的理念に立脚した協力関係を、両国国民間の広範な交流 と相互理解に基づいて今後更に発展させていくとの決意を表明した。

4.両首脳は、両国間の関係を、政治、安全保障、経済及び人的・文化交流の幅広い分野において均衡のとれたより高次元の協力関係に発展させていく必要があ ることにつき意見の一致をみた。また、両首脳は、両国のパートナーシップを、単に二国間の次元にとどまらず、アジア太平洋地域更には国際社会全体の平和と繁栄のた めに、また、個人の人権が尊重される豊かな生活と住み良い地球環境を目指す様々な試みにおいて、前進させていくことが極めて重要であることに つき意見の一致をみた。
 このため、両首脳は、20世紀の日韓関係を締めくくり、真の相互理解と協力に基づく21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップを共通の目標として構築し、発展させていくことにつき、以下のとおり意見の一致をみるとともに、このようなパートナーシップを具体的に実施していくためにこの共同宣言に附属する行動計画を作成した。  両首脳は、両国政府が、今後、両国の外務大臣を総覧者として、定期的に、この日韓パートナーシップに基づく協力の進捗状況を確認し、必要に 応じこれを更に強化していくこととした。

5.両首脳は、現在の日韓関係をより高い次元に発展させていくために、両国間の協議と対話をより一層促進していくことにつき意見の一致をみた。
 両首脳は、かかる観点から、首脳間のこれまでの緊密な相互訪問・協議を維持・強化し、定期化していくとともに、外務大臣を始めとする各分野 の閣僚級協議を更に強化していくこととした。また、両首脳は、両国の閣僚による懇談会をできる限り早期に開催し、政策実施の責任を持つ関係閣僚によ る自由な意見交換の場を設けることとした。更に、両首脳は、これまでの日韓双方の議員間の交流実績を評価し、日韓・韓日議連における今後の活動拡充の方 針を歓迎するとともに、21世紀を担う次世代の若手議員間の交流を慫慂していくこととした。

6.両首脳は、冷戦後の世界において、より平和で安全な国際社会秩序を構築するための国際的努力に対し、日韓両国が互いに協力しつつ積極的に参画していくことの重要性につき意見の一致をみた。両首脳は、21世紀の挑戦と課題により効果的に対処していくためには、国連の役割が強化されるべきであり、これは、安保理の機能強化、国連の事務局組織の効率化、安定的な財政基盤の確保、国連平和維持活動の強化、途上国の経済・社会開発への協力等を通じて実現できることにつき意見を共にした。  かかる点を念頭に置いて、金大中大統領は、国連を始め国際社会における日本の貢献と役割を評価し、今後、日本のこのような貢献と役割が増大されていくことに対する期待を表明した。  また、両首脳は、軍縮及び不拡散の重要性、とりわけ、いかなる種類の大量破壊兵器であれ、その拡散が国際社会の平和と安全に対する脅威であることを強調するとともに、この分野における両国間の協力を一層強化することとした。  両首脳は、両国間の安保対話及び種々のレベルにおける防衛交流を歓迎し、これを一層強化していくこととした。また、両首脳は、両国それ ぞれが米国との安全保障体制を堅持するとともに、アジア太平洋地域の平和と安定のための多国間の対話努力を一層強化していくことの重要性につき意見の一致をみた。

7.両首脳は、朝鮮半島の平和と安定のためには、北朝鮮が改革と開放を指向するとともに、対話を通じたより建設的な姿勢をとることが極めて重要であるとの認識を共有した。小渕総理大臣は、確固とした安保体制を敷きつつ和解・協力を積極的に進めるとの金大中大統領の対北朝鮮政策に対し支持を表明した。これに関連し、両首脳は、1992年2月に発効した南北間の和解と不可侵及び交流・協力に関する合意書の履行及び四者会合の順調な進展が望ましいことにつき意見の一致をみた。また、両首脳は、1994年10月に米国と北朝鮮との間で署名された「合意された枠組み」及び朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)を、北朝鮮の核計画の推進を阻むための最も現実的かつ効果的なメカニズムとして維持していくことの重要性を確認した。この関連で、両首脳は、北朝鮮による先般のミサイル発射に対して、国連安全保障理事会議長が安保理を代表して表明した懸念及び遺憾の意を共有するとともに、北朝鮮のミサイル開発が放置されれば、日本、韓国及び北東アジア地域全体の平和と安全に悪影響を及ぼすことにつき意見の一致をみた。  両首脳は、両国が北朝鮮に関する政策を進めていく上で相互に緊密に連携していくことの重要性を再確認し、種々のレベルにおける政 策協議を強化することで意見の一致をみた。

8.両首脳は、自由で開かれた国際経済体制を維持・発展させ、また構造問題に直面するアジア経済の再生を実現していく上で、日韓両国が、各々抱える経済上の課題を克服しながら、経済分野における均衡のとれた相互協力関係をより一層強化していくことの重要性につき合意した。このため、両首脳は、二国間での経済政策協議をより強化するととともに、WTO、OECD、APEC等多国間の場での両国の政策協調を一層進めていくことにつき意見の一致をみた。  金大中大統領は、日本によるこれまでの金融、投資、技術移転等の多岐にわたる対韓国経済支援を評価するとともに、韓国の抱える経済的諸問題の解決に向けた努力を説明した。小渕総理大臣は、日本経済再生のための諸施策及びアジア経済の困難の克服のために日本が行っている経済支援につき説明を行うとともに、韓国による経済困難の克服に向けた努力を引き続き支持するとの意向を表明した。両首脳は、財政投融資を適切に活用した韓国に対する日本輸出入銀行による融資について基本的合意に達したことを歓迎した。  両首脳は、両国間の大きな懸案であった日韓漁業協定交渉が基本合意に達したことを心から歓迎するとともに、国連海洋法条約を基礎とした新たな漁業秩序の下で、漁業分野における両国の関係が円滑に進展することへの期待を表明した。  また、両首脳は、今般、新たな日韓租税条約が署名の運びとなったことを歓迎した。更に、両首脳は、貿易・投資、産業技術、 科学技術、情報通信、政労使交流等の各分野での協力・交流を更に発展させていくことで意見の一致をみるとともに、日韓社会保障協 定を視野に入れて、将来の適当な時期に、相互の社会保障制度についての情報・意見交換を行うこととした。

9.両首脳は、国際社会の安全と福祉に対する新たな脅威となりつつある国境を越える地球的規模の諸問題の解決に向けて、両国政府が緊密に協力して いくことにつき意見の一致をみた。両首脳は、地球環境問題に関し、とりわけ温室効果ガス排出抑制、酸性雨対策を始めとする諸問題への対応における協力を 強化するために、日韓環境政策対話を進めることとした。また、開発途上国への支援を強化するため、援助分野における両国間の協調を更に発展させていくこ とにつき意見の一致をみた。また、両首脳は、日韓逃亡犯罪人引渡条約の締結のための話し合いを開始するとともに、麻薬・覚せい剤対策を始めとする国際組織犯 罪対策の分野での協力を一層強化することにつき意見の一致をみた。

10.両首脳は、以上の諸分野における両国間の協力を効果的に進めていく上での基礎は、政府間交流にとどまらない両国国民の深い相互理解と多 様な交流にあるとの認識の下で、両国間の文化・人的交流を拡充していくことにつき意見の一致をみた。
 両首脳は、2002年サッカー・ワールドカップの成功に向けた両国国民の協力を支援し、2002年サッカー・ワールドカップの開催を契機として、文 化及びスポーツ交流を一層活発に進めていくこととした。
 両首脳は、研究者、教員、ジャーナリスト、市民サークル等の多様な国民各層間及び地域間の交流の進展を促進することとした。
 両首脳は、こうした交流・相互理解促進の土台を形作る措置として、従来より進めてきた査証制度の簡素化を引き続き進めることとした。
 また、両首脳は、日韓間の交流の拡大と相互理解の増進に資するために、中高生の交流事業の新設を始め政府間の留学生や青少年の交流プログラムの充実 を図るとともに、両国の青少年を対象としてワーキング・ホリデー制度を1999年4月から導入することにつき合意した。また、両首脳は、在日韓国人が、日韓両国国民の相互交流・相互理解のための架け橋としての役割を担い得るとの認識に立ち、その地位の向上のため、引き続き両国間の協議を継続していくことで意見の一致をみた。  両首脳は、日韓フォーラムや歴史共同研究の促進に関する日韓共同委員会等、関係者による日韓間の知的交流の意義を高く評価するとともに、こうした努力を引 き続き支持していくことにつき意見の一致をみた。
 金大中大統領は、韓国において日本文化を開放していくとの方針を伝達し、小渕総理大臣より、かかる方針を日韓両国の真の相互理解につながるものとして歓迎した。

11.小渕総理大臣と金大中大統領は、21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップは、両国国民の幅広い参加と不断の努力によ り、更に高次元のものに発展させることができるとの共通の信念を表明するとともに、両国国民に対し、この共同宣言の精神を分かち合い、新たな日韓パー トナーシップの構築・発展に向けた共同の作業に参加するよう呼びかけた。

日本国内閣総理大臣   大韓民国大統領
小渕恵三        金大中  

1998年10月8日、東京


我々は、韓日の協調と調和を願う祈りが産んだこの「21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ-宣言」を無効にしてはならない。


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