Bー朝鮮人差別と迫害
植民地朝鮮の東亜日報の記事
朝鮮総督府警務局図書課『諺文新聞差押記事輯録(東亜日報)』昭和七年六月
p.80〜81より引用 ( 読みやすく改行しました。)
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(大正11年8月1日東亜日報)
日本に於て朝鮮人大虐殺
観よ!此の残忍悪毒なる惨劇を
一日十七時間の苦役を強要し逃亡すとて銃殺して河中に投ず
毒魔に惨殺せられたるもの百名以上
日本の信濃川なる河水を利用し信越電力株式会社にては八ヶ年の計画を以て東洋第一の大発電所を作らむが為め目下新潟県地方に於て朝鮮人
労働者六百名日本人労働者六百名計一千二百名を以て工事中なるが、
最近信濃川河水に朝鮮人労働者の屍体幾回も流れ来るを以て中魚沼郡十日町警察署にては異様に思ひ詳はしく調査したる結果実に天下の驚くべき事実を発見したり。
中魚沼郡秋成村穴藤なる工事場に於て労働する朝鮮人六百名は最初朝鮮に於て日本人が募集したる際一人宛予め四拾円宛を貸し与え八時
間丈労働し一ヶ月八十円宛給することを約束して連れ帰りたるものなるが、
其の現場に着くに及んでは毎日未明四時より夕の九時迄十七時間の間牛馬よりも酷使鞭使して強制を以て労働せ
しめ苦役に堪えずして其の場より逃亡し逃れむとするものあれば工事請負人は直にピストルを発射して殺し、他の朝鮮人に
対する見せしめなりと信濃川の河水に投じたるが、
去る二十六日晩にも一千五百尺もある絶壁より一名の朝鮮人を投ずるを警官が目撃したるも其処は登り行く途なきを以て仕方なく其の儘見逃したりと云ふ。
斯の如く虐殺に遭ひたる朝鮮人の数は幾名になるかは未だ確実ならざるも逃走して発覚し殺害されたる者と過度の労働に耐えず病になりたりとて殺
害せられたるものを合すれば百余名に近き模様なり。
新潟県警察部に於ては東京警視庁の応援を得て目下生存し居れる労働者を保護し犯人を検挙せむと着手したるが、斯くの如き虐殺事件は実に現世界の
何れの処にても見るを得ざる悪毒なる事なり。是が為めに問題は甚だ拡大すべしと。